鳴らない電話

特定の人からの連絡を待ってるときに、
鳴り響く着信音に嬉々として飛びつくと、
実は別の人からの電話だった場合、
たとえその相手が親友であっても、
なぜか理不尽な怒りをぶつけてしまう。
皆さんは、そんな経験ありませんか?

そんなとき、僕にとって、
ケータイは鳴っていないに等しい。

今日も、ケータイは鳴らなかった。

多数の人との関係を維持することを容易にしてくれる
万能の機器として、ケータイには随分お世話になってきたが、
今日みたいな日には、僕のケータイは
すっごくpersonalな用途に限定された
communication toolへと矮小化されてしまう。

でも、そんな瞬間も嫌いじゃないと
最近気付いた。

もどかしい、っていう感情の底にある、「欠落感」
手に入れたいんだけど、手に入らない。
微妙な距離感が、この「欠落感」に通じてるんでしょーね。

しっかし、この微妙な距離感っつーのが曲者で、
この距離が、メールが返ってくるまでの時間や、
コールバックまでの時間に反映される。

メールが行って返ってくるまでの間の気分は
井戸の深さを測るとき、石を落っことす感覚に似ている。

………………ポチャンッ!
メールが返ってきた瞬間、たしかにこんな音が聞こえる気がする。

そのとき、どんなに距離が離れて感じられようと
不確かだったものが確かになったことで、
なぜだか決まって安心感のようなものが得られる。
「欠落」の度合いが測れるからだろうか。

しばしば、いつまで待っても、
石が水を跳ねる音が聞こえないときもあるんだけれど笑
底なしの井戸もあるんだねぇ