ver.2

忘れもしない。

一昨年の12月4日深夜。

日吉で友人と飲んでいた僕に、先輩から電話がかかってきた。
どういう用件だろうと思いつつ、訝しげに応答したのだが、
先輩の第一声は次のようなものだった。

「今から〜、お台場で、ドロケイやるから来いよ」

ん?一瞬聞き取れない。
お台場?ドロケイ?今から?
単語は聞き取れるのだが、それが連なってどういう意味を
持つのか全く理解できない。センテンスとして捉えられない。

「えっ、なんていいました?どういうことですか?」
素直に聞き返した僕に対して、先輩は物分りの悪いヤツだな
というふうに少し苛立ちながら、とにかくお台場に来いと言う。

時間は、既に深夜0時を回ろうとしている。
しかし、そこは暇な大学生。楽しさ原理主義者の僕らは
一路、お台場海浜公園を目指した。

ところが、新橋まで着いてみて気付いた。
ゆりかもめ、終わってんじゃん…。
仕方がないので、タクシーで相乗りしてフジテレビ前へ。
一人頭、800円ほどの出費。イタイ…。
なんでこんな時間にお台場に来ちゃったんだろう、と多少の
後悔を抱きつつ、集合場所として指定された自由の女神像前へと歩く。俺らバカじゃね?なんて話しながら。

テンションうなぎ下がり状態のまま、女神像前に到着。


すると、そこには100人を超えるバカが集っていた。


ドロケイのルールを一通り説明してもらった後、50:50に
分かれてゲーム開始。泥棒はルミカと呼ばれる発光するリングを
腕に巻きつけて、それと分かるように工夫してあった。警察は
そのルミカを付けているかどうかで、一般の人と泥棒を区別する。


場所は、バリバリのデートスポットである
お台場海浜公園。仲睦まじく腕を組んで歩くカップルたちが行きすがる中で、ドロケイは決行された。
しかも、この年(当時20)で全力疾走する機会って
なかなかない。だから、久々に走ったらめっちゃ楽しいわけ。
自然と笑顔になっちゃう。

抱き合うカップルの背後を、全力で駆け抜けるバカたち(しかもなぜか笑顔)傍から見たらマジこえー笑
限りなくシュールな光景だったが、幸いなことに警察に
通報されて捕まえられるという、「リアルどろけい」には
ならずに済んだ。

結局、始発の出る朝5時まで、オールでドロケイ。
日が昇ったときの、気だるさ、心地よい疲労、そして何故だか
参加者同士の間に生まれた連帯感。
あんな素敵な朝をお台場で迎えることは、もうないと思う。

ちなみに、この日は某マスコミ系の研究所の入所試験科目である、
作文の提出日だった。えぇ、すっかり忘れてたんですよ。あっはっは。
帰宅後、あまりに時間がなくて、半泣き状態で書き上げることに
なりました。

ダメ人間だもの笑